山羊毛
刷毛に使われる山羊毛の原産国は殆どが中国で、一部インドからも輸入されています。
毛がやわらかく、塗料含みが良いので、水性刷毛、ニス用刷毛に胴毛が一般的に使用され、
特に、背毛が良質で木工用のワイピング等に使う上級タイプに使用されます。
高級タイプの塗装刷毛には、毛先が良く、毛腰があるのがヤンオと呼ばれる尾毛や、
細い毛ながら毛艶があり、すばらしい反発力を持つヤンスと呼ばれる髭等を、ブレンドすることにより、
塗料に合った、絶妙な毛捌きが可能になります。
胴毛 尾毛

馬毛
たてがみ、胴毛、足毛、尾毛の4つに大別することが出来ます。
振毛と呼ばれるたてがみは毛が長くしなやかであり、各種塗料の上塗り用、下塗り用として用いられ、
また、山羊毛等を主体とする刷毛の毛腰を出す為にブレンドされます。
尾毛の長い大部分は、本毛と呼ばれブラシやホーム用の刷毛の材料として利用されますが、
毛筋が太過ぎ、塗料が撥ねたり刷毛目がつき易いので、プロ用の刷毛の材料には適しません。
それに対し、本毛の周りに生える8寸位までの尾毛は天尾又は熊毛と呼ばれ、最高級のペンキ刷毛に用いられます。
しま毛と呼ばれる胴毛は主に、エナメル用の刷毛に使用されます。(画筆、化粧ブラシにも使用されています。)
馬蹄毛とよばれる足毛は毛艶があり、細い割に強い反発力を有するので竹柄刷毛等に使用されています。
振毛 本毛
天尾 しま毛 馬蹄毛

豚毛
主に背中の毛で殆ど全ての刷毛に用いられています。洋刷毛には特に多く使用されています。
毛色により原白、漂白、黒、胡麻があり、刷毛に使用する際は毛癖を抑えるためボイル加工を施したものを使用します。
原白豚毛 漂白豚毛 黒豚毛 胡麻豚毛

人髪
一般用の塗装刷毛には殆ど混ぜて使用されており、塗料の含みを持たせる安価な材料の一つです。
同じように含みを持たせる材料としての山羊毛が、毛切れを起こしやすいのに対し、人髪は耐磨耗性に優れており、
無くてはならない材料で、良質なものは「本通しうるし刷毛」の材料として使用されます。

植物繊維
椰子の実をほぐしたパーム、サボテンの繊維であるパキン、棕櫚の木の繊維であるシュロの3種類があります。
戦時中以降、毛不足を補うため、安物刷毛の毛腰を出す為に他の獣毛に混ぜて使われていました。
現在、単体としてはタール刷毛、アスファルト刷毛に使われています。
パーム パキン シュロ

合成繊維
すりへりが少ない、弾力性があること、毛不足を補うため、30年程前から豚毛・植物繊維の代わりに使われてきているもの。(塩ビ・ポリプロピレン)
自然の毛の様に人工的に毛先を細くし、しなやかな弾力性を持たしたもの(ポリ・ブチル・テフタレートのテーパードブリッスル)
幾分塗料含みを出した山羊毛の代替品(アクリル繊維)
合成繊維は一般に塗料含みが良くないので従来他の獣毛に混ぜて使用されていましたが、現在主流である水性の塗料は乾燥が著しく速いので、 その塗料含みの悪さ故、洗いながらの使用が可能になり、合成繊維100パーセントの刷毛が増えてきました。
塩化ビニール ポリプロピレン ポリブチルテフタレート アクリル


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